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JIS盤用VCBの保守と更新 (第14回:JIS盤の中に存在する水分量)

第14回目の配信「JIS盤の中に存在する水分量」です。

JIS盤の中に存在する水分量ですが、これは、盤全体の体積と、その時点での相対湿度と温度を仮定することで、大体の目安をつけることができます。

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上図にあります蛇腹状のコップですが、放置した状態で、210ccの容量になります。仮に、キュービクルがW:2mxD:2mxH:2mなら、体積は、8m3であり、機器の体積分1m3を引いた7m3が空気の体積となります。温度が30度Cとしますと、相対湿度が100%なら、30cc/m3ですので、210cc(7m3×30)ですが、相対湿度が40%(210×0.4)なら、84ccの水分量がキュービクル内に存在することになります。写真にあります蛇腹状のコップが盤内の空気の状態で、赤い水の部分が含まれている水分量になります。温度の変化に伴う湿度100% の時の水分量の変化にについては、30度Cでの飽和水蒸気量を30g/m3と、説明しましたが、温度が変化した場合の飽和水蒸気量の変化を下図に示します。図で、水分の入ったコップを蛇腹状にしてあるのは、コップの全体の体積が、温度によって、伸び縮みすることをイメージすれば状況が理解しやすいからです。温度が低下すれば、コップは縮み、上昇すれば伸びると考えればいいのです。

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30度Cで、30.4g/m3まで水分を含むことのできた空気も、20度Cでは、17.3g/m3に落ち、10度Cでは、9.4g、0度Cでは、4.8g迄落ちてしまうわけで、現実には、温度が下がることで、蛇腹のコップの中にあった水分は、冷されることで蛇腹のコップが縮んでしまい行き場をなくして結果的に結露として出てくる訳です。
盤内面に噴出する結露も、箱体内で20度C、80%の相対湿度で、13.8g/m3入っていた水分が壁面の裏側で急冷されて、10度Cくらいになり、最大9.4g/m3しかコップ内で保持できないので、結露となって噴出する訳です。

則武が、日本電機工業会が派遣するメンバーとして、全国各地で、講演活動をしていた際に、電気管理技術者の皆様と話していた時に、誰かに教えていただいた話のことですが、「車を運転する時にどうにもフロントガラスが結露で曇ることがあると、クーラーをつけたり、逆に暖房をかけたり、窓を開けたりして、結露ができる条件を崩せば曇りが消せる。同じ対策を、JIS盤でもやろうとして、換気扇を追加したら、結露はうまく消えたのだが、汚れやすくなるのは気にしなかった・・・」というお話で、更に熱線が入ったリヤガラスも結露の条件を崩すことで、曇り止めには有効なことを、上図に示す状態と車でのくもりとの対比関係で説明すると皆様によく理解して頂けることに気づきました。以後、結露のメカニズムの説明に便利に使わせて頂いています。感謝!

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盤内の空気の温度が上がれば、蛇腹コップは、伸びてくれますので、相対湿度は必ず下がります。それでは、盤外が湿度100%の霧の状態で、どのくらいの外気に対する温度上昇が盤内にあれば、屋内機器が使用可能な絶対条件である85%以下での相対湿度がキープできるのでしょうか?

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