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JIS盤用VCBの保守と更新 (第15回:盤内温度による相対湿度コントロール)

一見すると不可能に思える「盤内の湿度は常に85%以下に保つ」ための方策を考えるヒントとして、以下に示す実験結果があります。通電中のJIS盤の外気の温度を徐々にあげていき、100%の状態にしたとき、盤内の湿度の変化について、その外気との温度差が、2~3度Cの場合、5度Cの場合、10度Cの場合についての盤内の湿度変化を検証した結果です。盤内の温度が外気より、2~3度C程度上昇している場合では、盤内の湿度は、最大95%まで上昇してしまい、制限値をオーバーしますが、5度C上昇している場合では、最大でも81~82%にまで、抑えられています。このグラフから、外気の相対湿度が最悪の100%でも、盤内の相対湿度を85%以下に保つためには、盤内の温度を外気より5度Cくらい上げておけばよいという事実が判明します。10度Cあがっていればより確実ですが、この場合は、上がりすぎた温度で、ダメージを受ける盤内機器がでてきますので、5度Cくらいの温度上昇が理想的なのです。

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一般的に、JISキュービクル盤が使用されている状態では、変圧器の発熱により、盤内温度は外気より5度C以上に上昇しているのですが、特殊な条件では、5度C以下になってしまうことがあり、その時外気が湿度100%の状態だと、盤内の湿度は85%を超え、屋内機器の使用条件を上回ってしまうのです。では、こうした場合は、実際にはどう対応すればいいのでしょうか?
盤の容積が小さい場合は、除湿器や、盤内クーラーなどの手段もありますが、一般的なJIS盤の場合の対応は困難です。
具体的に、盤内の温度を上昇させる手段としては、やはりスペースヒータ(電熱ヒータ)で、盤内を温める のが、確実な方法といえます。従来、JISキュービクル盤には、スペースヒータは不要といわれていましたが、それは、盤内の変圧器が稼働することで、十分すぎる熱量が盤内に発生していたからです。スペースヒータの追加が必要となる条件としては、朝方に、電気使用量が低く盤内温度が周囲温度より下がる可能性のある受電盤では、タイマーなどにより、一定期間の通電が有効ですし、農閑期などで、使用されない期間のあるJIS盤では、屋外で、保管される期間中は継続して、スペースヒータに通電して、盤内の温度を上げることが絶縁劣化対策上有効な手段となります。梅雨時の相対湿度が特に高くなる時期に合わせてスペースヒータに通電して使うのも有効です。

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絶縁劣化対策上、有効なキュービクル盤の構成をまとめてみますと、以下の図の形態の盤構成で、盤内の温度をスペースヒータで、コントロールするものと考えます。すなわち、天井部は、直射日光を避け、天井面での結露を防ぐための2重屋根構造とし、床部は侵入した水が、スムーズに排水口により、外に排出されるよう勾配を持たせ、内部には常時発熱体があって、外気より、5度程度上昇しているものとなります。

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