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JIS盤用VCBの保守と更新 (第34回:異種グリースの混合が弊害となる理由)

第二章 投入不具合の謎解き グリースと注油 では、再三再四異なるグリースの混合による弊害をご説明していますが、「何故いけないのか?」「一体どんな理屈でどんな問題が発生するのかもっと具体的に説明できないのか?」というご質問が寄せられていますので、第二章の追補版としまして、混合は絶対不可と申し上げている理由の概略をグリースのイメージ模型を使ってご説明します。(実際の写真ではなく、あくまでもイメージ模型です)

高速で動く機械部品の表面に摩擦係数上、油膜が必要というのは、ご理解いただいていると、考えます。しかし、油は液体ですので、そのままでは流れてなくなってしまうので、半固体の状態で、重要部分にするため、増ちょう剤と混合し、練り上げ、グリースとして使用するしかないのも理解いただけると考えます。

このグリースの製造方法ですが、液体である油と、一番相性のいい増ちょう剤を適正な配分で、かつ適正な温度と圧力の条件で、丹念に混ぜあわせ、練り上げることで製造されます。下図に、そのイメージを糸状の増ちょう剤と油を模した球体模型で考えますと、増ちょう剤は、糸状のものが、網目状になって、球体の油を包み込んで、半固体にして、急速に流れ出てしまうのを防ぎつつ、少しずつ流し出して働いているのがお判りかと、思います。増ちょう剤の主なものは金属石けん系統のもので、オイルと混ぜ合わせることにより、網目状になって、球体の油が容易には外に流れ出さないようにはたらきますので、半固体の適切なグリースが出来上がる訳です。勿論、広範囲の温度条件で寿命を長く伸ばし、安定したすべり摩擦になるように調整されて製造されているものですから、どうしても高価になってしまうという問題は残ります。更にVCBメーカーは、過去に製造販売した自社のVCBに現行品用として推奨するグリースが使われても極力問題が出にくい組み合わせも考慮しながら、選択していますので、どうしても各社が推奨するグリースは異なってきますし、限定されてきます。

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異なる油が混じりあうのは、フッソやリチウムやモリブデンといった添加物の違いがあると反応することもあり、あまりいいことではないので、VCBメーカーは、自社が推奨する油以外は使用しないように説明していますが、致命的に絶対ダメというものでもありません。しかし、これが、増ちょう剤が混ぜ込まれたグリースの形態で、注油可能な形態に変化したもの(グリースメイト、ペートスプレー)では、状況は大きく変わってきます。異なる増ちょう剤が混じりあいますと、大抵は、増ちょう剤の主成分の金属イオンが反応し、肝心の増ちょう剤が解けてしまうか、反対に固化してしまう可能性が大きいのです。融ければ、増ちょう成分はなくなりますので、油は全て液化して流れてしまいますし、固化すれば、油として沁みだす働きが全くなくなります。いずれにせよ、油機器に供給されることはストップしますので、致命的な不具合の原因となります。

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下図は、複数(3社)の油脂メーカーがWebで発表している異なる増ちょう剤同士の相性の組み合わせ表で、試験している温度条件や、混合比の違いもあるので、完全には一致しませんが、大抵の組合せの場合は、のぞましくないという結果になっています。唯一、カルシウム石けんとウレアの組み合わせが例外的に3社ともOKとなっていますが、その他の組み合わせはなんらかの問題が発生するようです。ともかく異なるグリースの混合は不可として、覚えておいた方が無難です。

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高速で確実に動作しなけてばいけないVCBの機構には、そのVCBメーカーが指定する油/グリース以外のものを使用するのは、製品保障上危険であるかがお判りいただけるものと考えます。勿論、メーカーにより、フッソや、リチウム、モリブデンなどの添加物違いや添加濃度の違いもあり様々な性能の違いもあるようです。摩擦係数も、ともかく小さければ全ていいというものでもないようです。メーカー指定品が日本国内で入手可能(ケーイーシーで全て販売しています)な訳ですから、メーカーの指示に従って正しく保守されることを強くお勧めします。

Aは、投入不具合対策上重要なポイントですので、投入不具合の兆候が見え始めたら丹念に注油することをおすすめします。グリースメイトがトリップコイルにかかると不具合の原因となりますので、慎重に実施下さい。

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最後に、現在ケーイーシーにて販売しております油類と絶縁劣化対策クリーナーの全てについて、ご紹介したいと考えます。
①KECクリーナー500ml KV-VC02
②KECクリーナー100ml KV-NCO1
③東芝製潤滑油 100ml
④東芝潤滑油 20ml入りオイラーKV-NOT01
⑤東芝B9グリース 30g
⑥日立F-642グリース 200g
⑦日立 F-642オイル 1リットル
⑧日立 Fー642オイル 50ml
⑨日立 F-642オイル 20ml入りオイラー
⑩三菱 MG702Pグリース 1kg
⑪三菱 メグアップ 300ml
⑫三菱 MG702Pグリース 50g
⑬三菱 MG702Pグリース 30g
⑭三菱 MG702Pグリース 50g
⑮三菱 グリースメイト 300ml
⑯三菱 LBS用メンテキット XA-G031
⑰富士 フッソオイル105 110g
⑱富士 スズクロールNO.2 500g
⑲富士 ペーストスプレー 420ml

(お知らせ)
毎週、原則水曜日で発行しておりますメルマガですが、今回で第二章を終え、次回より第三章の高圧遮断器の更新ー虎の巻が始まります。但し、平行して進行しておりますYouTubeの撮影スタジオが改修される関係で、来週(10月20日)はお休みをいただき、10月27日より、鋭意再開いたしますのでよろしくお願いします。

メールマガジンの、第1回、第2回、第3回の内容をYOUTUBE動画(ケーイーシーチャンネル)「絶縁劣化の真相 VOL. 1」として、公開しておりますので、ご覧ください。
https://youtu.be/2B6NMHf9UDQ

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https://www.youtube.com/watch?v=Kzv_nXN11Lk

メールマガジンの第25回、第26回の内容をYOUTUBE動画(ケーイーシーチャンネル)「投入不具合の謎解き グリースと注油 VOL.3:東芝VCBの超スロー開閉と注油実演」として、公開しておりますので、御覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=14JRYXd8P_A

メールマガジンの第27回、第28回、第29回の内容をYOUTUBE動画(ケーイーシーチャンネル)「投入不具合の謎解き グリースと注油 VOL.4:電流トリップ、富士電機VCBの構成」として、公開しておりますので、御覧ください。
https://youtu.be/mqWrE-qRvag

メールマガジンの第30回、第31回の内容をYOUTUBE動画(ケーイーシーチャンネル)「投入不具合の謎解き グリースと注油 VOL.5:富士電機VCBの超スロー開閉と注油実演」として、公開しておりますので、御覧ください。
https://youtu.be/2-aStbeXDJw

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