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JIS盤用VCBの保守と更新 (第38回:R1 則武継雄の公開講座「東芝V10ーUから東芝V4C-Uへの更新 t=3.2 KV-TMU03使用」JIS盤用VCBの保守と更新2021 第三章高圧遮断器の更新 虎の巻)

今回の内容は、既設VCBが、東芝のV10-Uで、更新するのは、東芝のV4C-Uとしていますが、東芝のV16-Uから、V6C-Uへの更新もほぼ近似した内容ですので、該当回が公開されるまでは、本編をご参考にして下さい。

更新の条件ですが、既設VCBを固定しているパネルの板厚は、3.2mmとして、話をすすめます。東芝様では、パネル板厚が、3.2mm以上であれば、VCBの支持固定をパネルのみで行ってよいとされていますので、VCBの固定は、パネル固定のみでOKという条件でのご説明となります。これより薄いパネル板厚(例えば2.3mm)の場合は、パネルのみでのVCB本体の支持固定は許されてはおらず、後方床面での支持も併用するよう指示されていますので、こうした条件下での更新は、今回のご紹介とは異なるものとなりますので、回を代えてのご説明となります。板厚の測定は、断面が見えないので測れない場合としては、超音波による測定も可能ですが、その詳しい方法も、2.3mm板厚の場合で、ご紹介しますので、お待ち下さい。従って、更新工事をご計画の方は、事前調査として、必ずVCBの背面側にも回って、既設VCBが後方床面でも支持固定されていないかをご確認下さい。後方床面でも支持されているようですと、大抵はパネルの板厚が2.3mmで、更新するVCBも同様に後方床面でのい支持が必要となってきます。同時に既設VCBの周囲に、動かせない機器等がないかもご確認下さい。

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更新工事前のご説明ですが、どのような組み合わせの更新でも、まずは既設のVCBの外形寸法を入手下さい。勿論、当時のカタログがあればいいのですが、入手不可能であれば、図3-38-1R1に図示されている基本的な寸法(C,D,E,F,G,H,I,J,K,L,M,N,O,P、Q,R,S)を概略でもいいので、実物より推定して下さい。(既設のVCBには、現在JIS盤用VCBを製造していないメーカー製のもの多数現存していますが、外径寸法図の入手は困難です)推定するための手段については、別の回(型式不明の既設VCBからV4C-Uへの更新)でご紹介します。尚、実際に現物を測定するのであれば、該当設備は当然ですが、停電させる必要があります。この寸法が概略でもわかりませんと、更新工事の事前検討はできません。すなわち、VCBの表面板を固定する4本のボルトの中で、左上のものを基準点とし、左端までの寸法Cと、右端までの寸法Dがあり、C+Dの値が、既設VCBの最大幅寸法となります。V10-Uは、45.5+277.5=323が最大幅寸法となります。また、既設VCBの左上の固定穴の基準点から、最大高さまでの寸法Iと、床面までの寸法Hを加えたI+Hは、既設VCBの高さ寸法となり、V10ーUでは、39+201=240となります。

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更新を検討する場合は、まずこのフレームの最大幅と高さ寸法が、更新VCBではどう変化するかを確認する必要があります。図3-38-2R1には、同じ観点からの寸法表が掲載されており、V4C-Uについては、最大幅C+D=46.5+318..5=365>323(V10-U)であり、高さI+H=91+219=310>240(V10-U)であり、幅は42mm、高さは、70mm既設VCBより大きくなっていることが判ります。こうした場合は、導体位置を無理矢理に合わせていくよりも、既設VCB本体の外寸位置に近づけた方が更新工事全体としては、自分の経験上からは、無難と考えます。もし、既設VCBに接続されている電線が余裕を持って長目に配線されており、新しい導体位置に容易に接続配線が可能で、VCBの上部に余計な機器や配線ダクト類がないようであれば、外形位置が極力近くなる位置を選択下さい。つまり、図3-38-3R1で、既設V10-Uの左上の穴を基準として、KVアダプターの固定穴への寸法は、A=115で、B=65を選定下さい。

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電線の接続高さGですが、既設VCBが、201であるのに対し、更新VCBは、230で、29mm高くなっており、これは更新には都合がいいのですが、奥行き方向での導体中心位置Fは、既設VCBが、288なのに対し、更新VCBは、312ですから、24mmずれていることが判ります。この違いの調整は不可能です。V10-Uから、V4C-Uへの更新で難しいのは、VCBの機構の構成上、主回路導体のセンター位置が、V10-Uでは、N=ー48と、フレームの中心より右側にあるのに対し、更新するV4C-Uでは、N=68.5と、左側にあることで、完全に逆になっており、主回路電線の再利用が困難なことです。主回路導体の左右位置を既設のV10-Uの位置に更新するV4C-Uを無理に合わせようとしますと、更新VCBは、正面から見て、右側に大きく移動しますので、重心位置も移動し、右側に何か構成物があった場合の対応が困難となります。無理に合わせようとしますと、各々のN寸法から、68.5ー(ー48)=116.5と大きな移動となり、A=ー1.5(115-116.5)となりますが、これは既設VCBが固定されていた痕跡を、使用するアダプターKV-TMU03ではカバーできなくなりますので、精々A=25くらいまでが現実的な選択となり、B=65が適当な高さとなります。必要以上に本体を上方に移動しますと、却って接続が困難になる場合もありますので、ご注意下さい。

上部に余分な、機材があって、更新VCBが移動できるスペースがなく、下部が大きく広い場合は、A=25とし、B=ー5(65-70=ー5)まで下げる位置決定も、電線が届くようなら、指定範囲外ですが、検討下さい。(下方に下げる場合は、電線の交換が、必要となる可能性が高いので、更新用の電線も、事前に準備されるようお願いします)上部の断路器から流れ込んだ汚水が原因となる絶縁劣化が原因であった場合のVCBの更新工事であれば、電線も絶縁劣化している可能性もあり、更新にあたって電線を新しくする意味は十分にあります。

主回路電線が余裕を持って接続されている可能性は高くありません。こうした場合は、VCB本体の左右位置を調整して、既設の導体位置に極力近づける必要性もでてきますし、VCB本体を上方に移動して、既設の接続電線と更新VCBの床面高さを上げてやる必要もあります。勿論、既設のVCBの上部には、配線ダクト等が位置していて、むやみにあげることは、配線ダクト等があった位置を移動させなければならない必要が生じますので、既設VCBの周囲がどうなっているか十分観察する必要があります。ただし、このV10ーUの更新工事で有利なのは、制御用電線端子が、上部ではなく左側面にあることであり、既設VCBの上部が大きく空いて、自由に使える可能性が高いことです。更新VCBを上部に上げることが可能であれば、31mm程度上方に移動して、B=96(65+31)くらいまでは上げでも大丈夫です。(限度は、b=120mm)。

今回は、既設VCBの左右が比較的空いていて、基本形のKV-TMU03もしくは、三社共用のKV-TNU01に、東芝用の追加加工したものが使用可能の場合のご説明が基本ですが、左右にVCB以外の機器(Ex,電力量計、切替SW,表示ランプ)等があって、KVーTMU03が、こうした機器に当たってしまう場合については、幅の狭いKV-TMQ01の採用もご検討下さい。但し、幅狭形では、アダプターの固定穴が上下につきますので、VCB上部に配置している可能性のある制御配線等と当接することがないかを十分ご注意下さい。KV-TMU03と、KV-TMQ01は、固定穴の位置が異なりますので、A,B寸法は補正する必要があります。また巾が狭い分、既設VCBの痕跡等をカバーするのには限度がありますので、ご注意下さい。

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